研究紹介

FFPE組織のプロテオーム解析を基盤とした疾患バイオマーカー探索

ホルマリン固定パラフィン包埋(FFPE)組織は、もっとも一般的な組織保存法であり、主にHE染色や免疫染色による病理組織診断に使用されています。FFPE組織の特筆すべき長所として、疾患の組織形態が確認できるのはもちろんのこと、採取された患者さんの臨床症状・経過、採血データ、治療への反応性や転帰など詳細な情報がタグ付けされている事が挙げられます。これにより、長期間にわたり保存された症例を集め、レトロスペクティブな解析を行うことが可能となり、利用価値は非常に高いといえます。

FFPE組織では、メチレン架橋などタンパク質に強固な変性を加えるホルマリン固定により、長期にわたる保管が可能となっています。一方、そのタンパク質の変性がFFPE組織のタンパク質研究用試料としての利用を極めて限定させ、これまでは免疫染色による特定タンパク質の発現解析、FISHによる特定遺伝子座の解析に利用されるのみでした。しかし、質量分析装置やタンパク質抽出方法の進展の結果、近年ではFFPE組織を用いたプロテオーム解析が実用化されつつあります(図)。

私たちは、FFPE組織を用いたプロテオーム解析を基盤とした疾患バイオマーカーの探索を行っています。最近では、タンパク質抽出方法などを検討し、FFPE組織を用いたプロテオーム解析により、脂肪肉腫の新たなバイオマーカーを同定、報告しています(図)。

図 脂肪腫と高分化脂肪肉腫の比較プロテオーム解析と免疫染色を用いた評価.FFPE組織から複数のタンパク質が検出された.高分化脂肪肉腫のみ検出された181個のタンパク質のうち、protein Xの免疫染色を行ったところ、高分化脂肪肉腫、脱分化脂肪肉腫において高発現していた.

 
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